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わたしの原点から、"手と手"完成まで

わたしが映像の世界に入ったのは、2013年1月のこと。

 

全くの未経験であったが、とあるドキュメンタリー番組に惚れ込み、

「私もこの番組の制作に関わりたい!」と

次の日にはその制作会社に連絡し、面接の約束をとりつけた。

 

有難いことに入社が決定。その後 数か月にわたってテレビの「いろは」を教わり、

入社から約半年が経った頃、ついに希望の番組に配属してもらうことができた。

そこで経験したのは、他では絶対にできないであろう、冒険心くすぐる体験の数々。

それと同時に、世間がイメージする通りの長時間に及ぶ過酷労働。

飴と鞭を両方味わいながら、数年を過ごした。

 

テレビの仕事をしていると、関わる人々はとても幅広い。

映像をつくる人、被写体となる芸能人、飲食店経営者、お医者さん、農家さん…挙げたらきりがない。

日々の撮影において様々な職種・年代の人と出逢ううちに、自然と、自らの”生き方”そして”働き方”について考える機会が増えた。

それまでアシスタントとして、プライベートの時間は無いに等しい生活を送ってきた為、

​足元ばかり照らすことに必死で、具体的な行き先が全く見えていなかった事に気がついた。

「自分はどこを目指しているんだろう?」という疑問、そして

ライフワークバランス、結婚、出産、独立、目標…そんな単語がぐるぐると頭の中で渦巻いた。

 

思考の井戸を掘り進めていくと、自分が何をしたいのか、という事が徐々に見えてきた。

そもそも、わたしがテレビ(クリエイティブ)の業種に就いたのは、

「作品を通して人々をインスパイアしたい」という想いからだった。

わたし自身が一視聴者であった頃、映像を通して共感できる人々の活躍を見て学び、自分の明日への活力を得ていた。

それを今度は、作り手として、その活力を世に与える側になりたい。

だから、情報番組でもなく、お笑い番組でもなく、わたしの興味は常に”ドキュメンタリー”という分野に向いていた。

さらに、自分がスキルアップしていくと同時に、自身の企画コンテンツを制作したいと切望するようになった。

民放番組において、視聴率を優先しコンテンツが軽視されることへの違和感・多忙を理由に生まれる妥協、

それらを払拭するようなオリジナルのコンテンツで挑戦したかった。

 

そうして、「手と手」が生まれた。

職人たちの作り手としての原点、そして生き方・働き方にフォーカスした作品となった。

 

出演者たちが いかに「今」活躍しているかでなく、あえて「原点」をハイライトした理由としては、

これから何か始めたい人にとって、少しでもスタートのきっかけになる作品を作りたかったから。

・・・と言えたらカッコよかったのだけど、実際は、自分自身がこれからスタートする身として、

勇気をもらいたかっただけかもしれない(笑)

この作品の完成にあたり、

無名のわたしを信じて出演を快く承諾してくださった田中成美さんと吉田恒さん、

そして惜しみないサポートを与えてくれたチームのみんなには、本当に感謝の気持ちしかない。

 

出演者が「ああ、この人生を歩んできて本当に良かった」と改めて実感することができ、

さらに 見てくれた方が「自分もやりたいことに挑戦してみようかな」なんて少しだけ前向きになれる、

そんな気持ちをお届けできたなら、クリエイター冥利に尽きる。

​そして、この「手と手」シリーズはわたし自身の出発点として、今後も丁寧に紡ぎ続けたいと思う。

 

 

2016年8月

​齋藤 汐里